以前と異なり、「出張」と言う言葉から完全に遠のいてしまいました。
どちらかと言えば、今は「地元に密着し地域社会に貢献していく」仕事ゆえ、尚更「ビジネストリップ」的な機会に恵まれなくなっています。
・・それはそれで肉体的には間違い無く相当ラクになったのですが、やはり自らの血と汗が染み込んだ数々の土地に想いを馳せる事も多々有るワケで・・
JR名古屋駅~JR長野駅の間を約三時間弱かけて移動した特急「ワイドビューしなの」の旅も、そんな思い出の一つかも知れません。
険峻な山間部の深い渓谷に沿って走るこの路線に乗りたい一心で、ナゴヤと長野県の営業スケジュールを苦慮しながら半ば強引に合わせた事等も、今となっては実に良い思い出です。
当時は、情緒溢れる木曽川沿いの車窓を眺めながら「いつかは出張では無く・・」「いつかはプライベートで・・」と念じると同時に、時々ヤクザな仕事に就いてしまった己の運命を呪ってみたり・・
「いっそ課せられた任務をここで放棄して、『途中下車しローカルバスに乗って山奥の秘境に佇む一軒宿でユックリ温泉を』」(2012/10/17)・・幾度と無くそんな衝動に駆られた事も、また良い思い出です。
少しでも当時の想いを実現させる為に・・
高井戸ICより約180km強、岡谷JCTよりそのまま中央高速道路をナゴヤ方面へ・・
途中の駒ヶ岳SAにて名産品「ソースかつ丼」で腹ごしらえ・・
・・ちなみに大学生時代、部活の合宿で味わった事の有る「懐かしい味」です。
飯田山本ICで中央高速道路を降り、一路中央アルプスに向かってクルマを走らせます。
途中気ままに道の駅に立ち寄りながら豊かな木曽地方の自然を堪能しつつ、今回是が非でも行きたかった場所・・
「寝覚の床」です。ようやくプライベートで訪れる事が出来ました。
今まで特急「ワイドビューしなの」の車内から窓越しに眺める事しか出来なかった、自然が作り出した見事な風景です。
「木曽川の水流によって花崗岩が侵食されて出来た雄大な自然美で、今尚『浦島太郎伝説』が残る、国の名勝に指定されている場所」(2012/10/17)で、自分の語彙能力では正直なかなか上手く表現する事が出来ない絶景であります。
また運良く当日の「寝覚の床」は大変良い状態だったので、ウチのカミサンに対しても大いに「ドヤ顔」する事が出来たワケで・・
同時に、今まで特急「ワイドビューしなの」の車内から恨めしそうに車窓を眺めていた頃の記憶が少しづつ蘇えってきます。
JR南木曽駅とJR木曽福島駅です。幾度と無く「厳しい現実と向かい合い」(2012/10/17)ながら己の過去を悔やんだ場所です。
・・こうしていざ訪れてみると、正直とても感慨深い想いです。
丁度JR木曽福島駅のホームに、JR長野駅行の特急「ワイドビューしなの」11号が滑り込んできました。
「嗚呼・・今までアレに乗っていたんだ」・・これもまた、何とも言えない感情です。
木曽川の渓谷に沿って深い木曾谷の中を走る、憧れ続けた「木曽路」(国道19号線)です。とても気持ちの良い快適なドライブでした。
岐阜県との県境に近い、木曽御嶽山の裾野に抱かれし「開田高原」に寄り道です。
少し遅い昼メシは、季節の具材と一緒に煮込んだアツアツのそばつゆの中に一口分のそばを籠に入れてさっとくぐらせて頂く、木曽地方等に伝わる伝統的な郷土料理「とうじ(=投じ)そば」です。大変美味しく頂きました。
腹も満たされ、豊かな大自然を前に心も満たされながら、ノンビリ今宵の宿を目指します。
戦国時代にこの地を支配した武田氏が定めた宿駅として整備され、江戸時代に入って中山道34番目の宿場町として発展し、現在は木曽路沿いに南北約1km・東西約200mの範囲が「重要建築物群保存地区」に定められている名所「奈良井宿」です。
かつて武田勝頼と木曾義昌が激しい戦いを繰り広げた信濃国と美濃国の国境に位置する旧中山道最大の難所「鳥居峠」を目前に備え、多くの旅人が滞在した事で「奈良井千軒」と呼ばれる程の賑わいを見せたとされる歴史有る宿場町です。
現在も当時の宿場町の様子を忠実に守り、情緒豊かな建造物が街道の両側に建ち並ぶ等の往時の面影を色濃く残しながら、この地を訪れた旅人の様に宿泊する事が出来る民宿も数件存在します。
今回はその内の一件に投宿しました。
素朴ながら丹精込めて作られた、何とも野趣溢れる料理の数々です。これぞ本当の意味で「贅沢」と言うのかも知れません。
腹一杯に「自然の恵み」を堪能させて頂きました。
翌日も「奈良井宿」をノンビリ気ままに散策です。朝の厳かな空気もまた違った風情です。
「老後はここでノンビリ余生を過ごすのもアリ・・」・・確実に実現しない夢物語を抱きながら、後ろ髪を引っ張られる想いでイヤイヤ帰路に着きます。
再び国道19号線に乗り、木曽路の旅もいよいよ終盤です。
長野県塩尻市の市街地に到着です。列車ではJR東日本とJR東海の境界にあたる場所ですが、道路においても国道19号線と国道20号線が接する事で、まさに「県央部における『交通の要衝』」(2012/10/17)であります。
塩尻ICより長野自動車道に乗り・・
岡谷JCTで中央高速道路に入って、一路「東京」方面ヘ・・
楽しい時間は、本当アッと言う間です。一泊二日では全然モノ足りません。
次は二泊三日・・イヤ三泊四日で、再び「木曽路」を巡る思い出の旅に出たいと思います。